カーペットを選ぶとき、デザインやサイズはイメージがしやすいですが、素材についてはなんだかぼんやりしていませんか?
なんとな~く「ウールって高級なだけあってやっぱり良いのかな?」とか「綿ならなんとなく肌に優しそうで安心」とか、よく知らないと先入観だけでカーペットを選んでしまいがちです。
ちょっとマニアックな話題にはなってしまいますが、カーペットの素材にも妥協せず選びたい!というこだわり派の方に向けて記事を書いてみたいと思います。
思いのほか長文になってしまったため、前編(天然繊維)・後編(化学繊維)に分けてまとめます。
目次
カーペットの素材と特徴を表にしてみました
天然繊維の主だった6種類の素材について表にしてみようと思います!
素材によって特徴はあるものの、撥水加工や消臭・抗菌加工、防ダニ加工など、撚糸(より合わせた糸)にした時点や織り、縫製後に機能性をプラスすることも多くあります。
また織り方や毛足の長さによっても質感や扱いやすさは異なりますので、素材そのもの特性だけでカーペットの良し悪しが決まるわけではありません。
上記を踏まえて、各繊維の特徴を見てみてくださいね。
天然繊維の特徴表
素材 | 耐久性 | 汚れにくさ | 調湿性 | 消臭効果 | 抗菌作用 | 凉しさ | 暖かさ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
羊毛(ウール) | ○ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ||
綿(コットン) | △ | ◎ | 〇 | ||||
麻(リネン) | △ | ○ | ◎ | ◎ | |||
竹(バンブー) | ○ | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | △ | |
いぐさ | △ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | ||
籐(ラタン) | ○ | ◎ | ◎ | △ |
天然繊維は調湿性や涼やかさに優れたものが多い という特徴があります。
自然界にある時から、これらの素材は呼吸をし新陳代謝をすることで環境に適した成長をしています。
こういった循環の中から生まれる強さというのが天然繊維の特徴に顕れていると言えますね。
天然素材の紹介
ここからは、カーペットに使われる代表的な天然素材を紹介します。
羊毛(ウール)
その名の通り羊の毛です。
今回紹介する天然素材の中で唯一動物性の素材です。
(レザーやラムファーなども敷物に使われますが、今回は一般的なものに限定するため割愛)
- 夏は涼しく冬は暖かい
- キューティクル・上質な油分による撥水性と汚れにくさ&静電気も起こりにくい
- 湿気を吸収&放出する調湿機能
- 他の繊維よりも伸張率が高く、家具などの跡が付きにくく高耐久
ウールにはさまざまなメリットがあり、カーペットにもよく採用されている素材と言えます。
無染色ウール
さらにこだわり派の方は、ウールの中でも無染色というものをよくご購入いただいています。
多くのウールカーペットは色味を均一にするために一度染色をすることが多いのですが、この無染色ウールはその名の通り染めていない自然のままの色合いのウールなんです。
羊さんにも個性があり、白い毛、茶色い毛、黒い毛、それぞれのミックスなど、一頭一頭に個性があります。
そんな羊さんの毛を手作業で色別に選り分けてからカーペットに仕上げるという、職人のひと手間をかけたウールカーペットです。
ウールマーク
ウールの品質を表すマークに「ウールマーク」というものがあります。
このウールマークを取得することで品質保証になるというわけです。
しかしながらこのマークを付けるためにはいくらか余分に予算が必要になるため、商品価格を抑えるためにあえて審査に出さないといったウールカーペットも存在します。
品質が劣っているというわけではなく、ただウールマークを取っていないだけ。その分を商品価格に還元しているというものです。
もし、この品質保証そのものにこだわりがないのであれば、そういったウールカーペットはお買得と言えますね。
綿(コットン)
衣料品や寝具などでも馴染み深い綿(コットン)は肌触りの良いさらっとした質感の素材です。
- 肌触りが優しい
- 吸水性に優れておりさらっと快適(過度に濡らしたままの放置はNG)
- 洗えるカーペットが多い
水分をよく吸収し発散させてくれるため、夏の暑い日にも快適です。
薄手で洗えるカーペットが多いため、お子様やペットのいるお部屋でもよくご利用いただいております。
広く普及しており加工もしやすい素材ですので、比較的価格も抑えめです。
手軽に買い替えたり、季節に応じて敷き替えたり、気楽にコーディネートを楽しめます。
麻(リネン・ヘンプ)
ウールや綿と異なり、シャリっとした独特のハリ(固さ)のある素材 です。
- 通気性が良い
- 吸湿・発散性に優れている
- 毛羽立つことがある
通気性に優れており、独特のざっくりとした素材感で人気です。
麻100%のカーペットは数が少なく、いわゆる麻混(綿などと混合)のもののほうが多いです。
経年により徐々に色が変わってくるという特徴もあり、艶良く「育てる」楽しみ方ができます。
反面、「購入時の色合いそのままでないと嫌!」という方にはあまりオススメはできません。
竹(バンブー)
日本人には馴染みのある竹。
幼少期は竹藪から顔をのぞかせた鹿と対峙したり、ちょっとだけ頭を出したタケノコに躓いて転んだりしていましたよね!って言うと大体田舎者扱いされますね。知っています。自覚しています。
実体験から申し上げますと、竹って目いっぱい体重をかけて揺さぶっても到底折れたりはしません。
つまりしなやかでものすご~く丈夫ということですね。
これはカーペットになっても同じで傷がつきにくく頑丈な敷物になってくれる素材なんです。
- ひんやりとした涼感がある
- 天然の抗菌・消臭作用
- 傷つきにくく丈夫
生命力にあふれた竹。
夏場のナチュラルなインテリアに最適です。
いぐさ
畳の材料として身近ないぐさ。
このいぐさを使った敷物はよく上敷きと呼ばれています。
傷んでしまった畳の上から敷いたり、フローリングの上に敷いてなんちゃって和室にしたりとお手軽にお使いいただけます。
- 調湿性に優れ結露の軽減にもなる
- ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着、浄化
- 消臭効果がある
- イ切れといっていぐさが切れることがある
昔ながらの天然繊維ですので、高齢者の方にも人気です。
籐(ラタン)
籐(とう)は東南アジアで自生している植物で、よく家具や籠などの材料になっています。
籐素材のバスケットなんかはナチュラルでかわいいですよね。
敷物に使われる場合は、「むしろ」「あじろ」のように編み方で呼ばれたりします。
「針のむしろ」という言葉から、なんとなく粗末でトゲトゲしたイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、まったくそのようなことはなく、耐久性も抜群の敷物になってくれるんですよ!
- 天然の導管による高い調湿性
- ひんやりした手触り
- 品質の良いものであれば10年以上使える高耐久
質のよい籐カーペットは長く使うことで徐々にあめ色に変化していきます。
この独特の艶感が愛好者に支持される所以でもあります。
まとめ
天然繊維にはそれぞれ自然界に存在してた間に育まれた独特の強さがあります。
カーペットに加工された後も、まるで生きているかのように繊維が呼吸をし、住環境を整えてくれるような機能を発揮してくれます。
化学繊維にはないナチュラルな質感は、インテリア性にも優れています。