賃貸住宅の防音対策をしたい!と思っていませんか?
騒音問題は、賃貸アパートやマンションなどの集合住宅の近隣トラブルの原因にもなりやすいです。
賃貸は原状回復の義務があるため、元に戻せる手軽な方法でできる限りの防音対策をしていきましょう!
この記事では、賃貸でできる防音対策について解説します。
目次
そもそも騒音問題って?
賃貸アパートなどの集合住宅は、一軒家に比べて隣家との距離が近いことから、騒音による近隣トラブルが多いと言われています。
国土交通所が2018年におこなったマンション総合調査によると、居住者トラブルの要因の1位が「生活音」によるものだとわかりました。
出典:国土交通省HP.「マンションに関する統計・データ等」.
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html
足音や食器を落とす音、テレビの音、鼻歌など生活する中で様々な音が発生しています。
ですが、どんな音が騒音の原因になっているのかご存知ない方も多いのではないでしょうか?
まずは、騒音とはどのようなものなのか簡単に説明いたします。
音の伝播方法について
音が伝わる方法には『空気伝播』と『固体伝播』の2種類があります。
防音対策をするためには、どちらの音を防ぎたいのか知っておくことが大切です。
まずは音の伝播方法の種類について解説したいと思います。
【空気伝播】
空気伝播は、空気を通して伝わる音のことです。
テレビの音や、話し声、ピアノやギターなどを演奏する音などが空気伝播に含まれます。
防音対策が比較的しやすい音の種類です。
距離が遠くなったり、壁やドアなどの障害物があったりすると、音は小さくなります。
【固体伝播】
固体伝播は床や壁などを振動させて伝わる音のことです。
歩行音や椅子を引きずる音、ドアの開閉音、家電の振動などが固体伝播に含まれます。
子どもが飛び跳ねる音のような大きな衝撃音を防ぐには、建物の構造から見直さなければならないため簡単には解消できません。
ですが、普通の歩行音やイスの引きずる音、スプーンを落とした音など軽度の音であれば、ある程度対策することができます。
生活騒音について
また、生活の中で生まれる騒音にはどのようなものがあるのでしょうか?
参考までに、環境省が発表した生活騒音の発生源内訳を紹介します。
引用:” 騒音規制法施行状況調査”.環境省HP.
https://www.env.go.jp/air/noise/index.html
これによると、生活騒音で最も多いのが電子機器(23%)という結果になりました。
洗濯機や掃除機など、電子機器から発生する音や振動は固体伝播のため階下に伝わりやすいことも要因だと思います。
また、生活の中で発生する人の声や足音(13%)、ペットによる騒音(11%)も、生活騒音の大きな発生源となっているようです。
騒音・防音対策のアプローチ方法
では、そんな音を防ぐためにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
ここでは、騒音・防音対策の基本的な2種類のアプローチ方法を紹介します。
遮音
遮音とは空気中に伝わる音を遮ることで、音を小さくする方法です。
物体の質量が大きいほど、遮音性は増していくと言われています。
鉄板やコンクリート、石膏ボードなどの遮音性が高いと言われているのは、物体の密度が高いからです。
遮音は音が跳ね返しているため、効果が高すぎると室内に音が反響してしまいます。
そのため、しっかりと防音するためには、遮音だけでなく吸音することも大切です。
吸音
吸音とは文字通り、吸収することによって音の反射を防ぐ方法です。
音を吸収するため、室内の音が反響するのを抑えてくれる効果もあります。
吸音するには、多孔質と呼ばれる細かい穴がたくさんあいている素材が必要です。
ウレタンフォームやグラスウール、畳などは吸音性が高いと言われています。
外からの音もある程度軽減できますが、どちらかと言うと室内の音を外に漏らしたくないときに効果的です。
遮音と吸音をバランスよく組み合わせて快適な住まい環境を整えていきましょう。
賃貸アパートでもできる!場所別の防音対策
賃貸住宅には原状回復の義務があり、大規模なDIYやリフォームをすることができません。
元の状態に戻せることを意識して防音対策をおこなうことが大切です。
ここからは、床や窓などの場所別に賃貸でもできる防音対策について紹介します。
床の防音対策
集合住宅の上階に住んでいると、歩行音や椅子を引きずる音などが階下へと響いていないか心配になりますよね。
軽度の固体伝播音を防ぎたいときは、防音ラグやカーペットがおすすめです。
■床の防音対策方法■
- 防音カーペット・ラグを敷く
- 防音マットを敷く
- クッションフロアを敷く
ラグやカーペットは床材の中でも特に防音効果が高いと言われています。
高密度で織られたラグや、厚手のカーペットは、防音性が高い傾向があるので目安にしてみてください。
また、カーペットの遮音性能を知るための目安として、遮音等級というものがあります。
遮音等級の目安↓
△L等級 | 歩行する音 | イスの移動音 物の落下音 |
生活音など |
△LL-6 | ほとんど聞こえない | 通常では まず聞こえない |
上階からの気配は 感じにくい |
△LL-5 | 遠くから 聞こえる程度 |
ほとんど聞こえない | 上階の気配を 感じることがある |
△LL-4 | 聞こえるが 気にならない |
食器の落下音や 大きな動きがわかる |
上階の生活音が 少し気になる |
△LL-3 | 少し気になる | 歩行音や椅子の 移動音が気になる |
上階の生活状況が 多少確認される |
※こちらの表はあくまで目安です。
しっかりと防音対策をしたいときは、遮音等級△LL-6以上のカーペットを選ぶと安心ですよ。
キッズスペースなど限られた場所の防音対策をしたいときは、防音ラグがおすすめです。
お部屋全体を防音したいときは、防音効果のある敷き詰めカーペットを探しましょう。
冷蔵庫や洗濯機など家電製品の防音をしたいときは、専用の防音マットや防振マットが便利です。
音や衝撃を吸収してくれる厚手のクッションフロアも、手軽な防音対策としておすすめですよ。
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窓の防音対策
賃貸でもできる窓の防音対策方法は以下の2つです。
■窓の防音対策方法■
- 隙間テープを使う
- 防音カーテンを使う
音は窓サッシにある隙間からも漏れてしまいます。
隙間テープを活用することで、窓をぴっちり閉じることができ音漏れを少なくすることができますよ。
また、防音カーテンも音漏れ対策に効果的です。
防音カーテンは、高密度に織り上げたり、特殊樹脂などをコーディングすることで防音性を高めたカーテンのこと。
カーテンの生地が吸音し、樹脂コーティングや裏地が遮音することで高い防音性を発揮してくれます。
一般的なカーテンとどのくらい防音効果に差があるのか、当店の防音カーテン『エコマカロン』で遮音実験を行ってみました。
その結果がこちらです↓
この結果グラフを見ると、エコマカロンは高音域エリアで特に遮音性を発揮してくれることがわかりますね。
赤ちゃんの泣き声やピアノの音色など生活の中で発生する音もしっかりカバーしてくれそうです。
カーテンは、床につくくらい長めに設定すると防音効果がさらにアップしますよ。
壁の防音対策
話し声やテレビの音などは、隣家にも響いてしまうことがあります。
隣接している壁もしっかりと防音対策をしていきましょう!
■壁の防音対策■
- 吸音パネル
- 防音シートを貼る
- 背の高い家具を置く
壁に貼り付けて使える吸音パネルや防音シートが販売されています。
壁一面に貼り付けることで、室内で発生する音をしっかり吸収してくれますよ。
壁紙を傷めてしまわないよう、賃貸用の貼って剥がせる吸音パネルを選んでくださいね。
吸音パネルを貼るのが難しい場合は、棚などの背の高い家具を壁際に置くだけでも多少の防音効果を得ることができますよ。
騒音に悩まないための賃貸物件選びのポイント
寝室のすぐ隣のお部屋が、お隣さんのリビングルームだったとしたら…。
せっかく防音カーテンを取り付けていても、寝るときに隣家のテレビの音が気になってしまうかもしれません。
騒音問題を解決するには、物件選びの段階から防音を意識しておくことが大切です。
ここからは、騒音に悩まないための物件選びのポイントについて解説します。
物件の立地
物件の立地は、騒音問題に直結します。
電車が良く通る線路沿いの物件は、電車の音や踏切の音が響いてくる可能性がありますよね。
周辺の環境やお店、施設などを確認し、音が気にならないか確認しておきましょう。
また、時間帯によって聞こえてくる音が変わるケースもあります。
例えば、飲み屋街の近くだと、夜中に外からの話し声が気になってしまうかもしれません。
逆に、公園や幼稚園などの近くは、日中に子どもの声が聞こえてきますよね。
このように、時間帯によっても聞こえてくる音は変わります。
物件を選ぶときは複数の時間帯で訪れてみて、周囲の音が気にならないか確認しておくようにしましょう。
建物の構造
「木造アパートは響きやすい」という話を聞いたことはありませんか?
建築構造は建物自体の防音性にも大きく影響しています。
賃貸物件でよく用いられるのは、木造(W造)、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)の3種類です。
この3種類を防音性の高い順に並べると以下のようになります。
■建物構造別の防音性ランキング■
- 鉄筋コンクリート造(RC造)
- 鉄骨造(S造)
- 木造(W造)
この3種類の中で、最も防音性が低いのが木造(W造)です。
木材は振動を伝えやすく音が伝わりやすい性質を持つため、音漏れしやすくなります。
騒音が気になる方は、木造の賃貸住宅は避けるほうが良いかもしれません。
逆に、防音性が最も高いのは鉄筋コンクリート造(RC造)です。
鉄骨支柱の周りを鉄筋で組み、コンクリートを流して作られた鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と言うものもあります。
高層マンションなどで見かける建築構造で、鉄筋コンクリートよりもさらに防音性が高いです。
部屋の配置
防音性の高い物件を選ぶときは、部屋の位置にも注目しましょう。
例えば、最上階のお部屋は、上階からの生活音や足音が聞こえてくることはありません。
お部屋で静かに過ごしたい方におすすめです。
1階(最下階)のお部屋は、階下に足音や生活音が響く心配がありません。
お子さんが元気に走り回っても、階下への騒音を気にせずに過ごすことができます。
また、角部屋は隣接するお部屋が少ないので、壁から響く騒音問題を軽減することができますよ。
もし可能であれば、内覧の際に近隣住人の生活スタイルや年齢層も確認できると安心です。
壁の音響
壁の防音性が低いと隣家に音が漏れてしまいます。
内覧の際には、壁がどのくらい響くか確かめておきましょう。
壁を軽く叩いてみれば、壁の防音性がわかります。
石膏ボード | コンクリート |
防音性が低い 軽く高い音がする |
防音性が高い 固く詰まった音がする |
叩いたときに軽い感じがしたり、高い音が響くようであれば石膏ボードである可能性が高いです。
石膏ボードの壁は防音性が低いため、隣家に音が響きやすくなってしまいます。
一方、コンクリートの壁であれば、叩いたときに固く詰まったような音がします。
コンクリートの壁は防音性が高く、隣家に音が響きにくいです。
騒音トラブルにならないために気をつけるべきこと
防音アイテムを使用したり、物件選びに気をつけていても完全な無音状態を作るのは難しいです。
近隣トラブルに巻き込まれないためにも、普段の生活から騒音を立てないよう気をつけましょう。
ここでは、騒音トラブルにならないために気をつけるべきことを3つ紹介します。
音のなる機器の配置場所
テレビやオーディオ機器、ピアノなど音が発生する機器は配置場所に注意が必要です。
壁は振動が伝わりやすいため、壁にぴったりつくように配置すると隣家に音が響きやすくなってしまいます。
壁や廊下から離れた場所に設置し、防音マットやなどを敷いて防音対策をしておきましょう。
生活音に注意する
ドアを開閉する音、歩行音など日常生活で音が発生してしまう場面は意外と多いです。
- 静かにドアを開閉する
- 歩くときに大きな音を立てない
- 家具を移動するときに引きずらない
- 窓を開けたまま大声で話さない
- 深夜や早朝は話す音量に注意する
など、日常生活のちょっとした動作に注意するだけでも騒音を減らすことができます。
家の中は個人の空間ですが、隣家への配慮も忘れないようにしたいですね。
家電を使う時間帯に気をつける
洗濯機や掃除機などの家電は意外に大きな音が発生しています。
大きな音の発生する家電は、使用する時間帯に注意しましょう。
深夜や早朝などの就寝時間に、音のする家電を使用すると騒音トラブルのもとになりやすいです。
静かな時間帯は控え、日中に家電を使用するようにしましょう。
仕事などで日中に掃除の時間を取ることが難しいときは、コロコロクリーナーや、お掃除ワイパーなど音が発生しにくい掃除器具を活用するのもおすすめです。
まとめ
この記事では、賃貸住宅でできる防音対策について解説してきました。
賃貸住宅では騒音問題による近隣トラブルが発生しています。
音を吸収する『吸音』と、音を反射させる『遮音』をバランスよく取り入れてしっかりと防音対策をしていきましょう。
防音性の高いカーペットやカーテンを使えば、手軽に騒音対策をおこなうことができます。
また、周辺の環境や賃貸物件の建築構造など、物件選びの段階から防音性を意識しておくことも大切です。
賃貸住宅は原状回復の義務があるため、元に戻すことを意識して防音対策をおこないましょう。