ペルシャ絨毯、トルコ絨毯・・・耳にしたことがあるって方、多いと思います。
これはきっと産地を指すんだろうなぁというのは、容易に想像できますよね。
じゃあウィルトン織り、ゴブラン織り、モケット織りなんかになるとどうでしょう?
聞いたことあるようなないような。
織りと付いているので、織り方の違いなんですが、今回はその中でもウィルトン織りについてご紹介してみたいと思います。
目次
ウィルトン織りとは?
ウィルトン(Wilton)とはイギリスの地名です。
ウィルトシャー(Wiltshire)にある町・行政教区の一つです。
ウィルトン織りは18世紀半ばにこの地方で初めて作られた織物なので、ウィルトン織りと名付けられたんですね。
ウィルトン織りは手織りのような風合いを機械織りで再現した、とても繊細な織模様が特徴の高級カーペットです。
うっとりするようなオリエンタル柄や、最近ではシンプルでモダンなスタイルのものも登場しています。
「タフテッドカーペット」と「ウィルトンカーペット」はどう違う?
ところで・・・
ウィルトンカーペットは普通のカーペットと比べて、どんなところに違いがあるのでしょうか?
ここではカーペットの主流である「タフテッドカーペット」と伝統的な製法でつくられる「ウィルトン織カーペット」を比較してみましょう。

▲タフテッドカーペット

▲ウィルトン織カーペット

ちがう種類のカーペットと比較することで、ウィルトンカーペットの魅力がよくわかるよ!
◇タフテッドカーペット(一般的なカーペット)
タフテッドカーペットは、基布(布地)にミシン針でパイルを植え付ける方式で生産されています。
基布にパイル(繊維)を、波縫いのようにして刺し込んでいるのです。
基布の裏面に出てくる縫い目の部分は、ラテックス(ゴム)でコーティングして固定しています。
生産する速度が早いので、大量生産が可能!
(なんと、ウィルトン織の30倍ほどのスピードで生産できます)
使用する基布の厚みや加工方法を工夫することで、「防ダニ」「防音」「フリーカットOK」「洗濯OK」など、日々の暮らしに役立つ機能をプラスできます。

大量生産ができるタフテッドカーペットは、一般家庭にも広く普及しています。
基布(布地)にパイルを刺し込んで生産する方式なので、基布の厚みや加工方法をアレンジしやすいことが特徴です。
◇ウィルトン織カーペット
ウィルトンカーペットは、糸と糸を組み合わせて織り上げる伝統的な製法でつくられたカーペットのことです。
表面のパイル糸以外にも4種の糸を使用する織り方は、機械織の中でも最高ランクだと言われています。
室内でも土足で生活をしている欧米諸国で普及してきた絨毯なので、その耐久性については折り紙つき。
美しい絨毯を、長く愛用したい方におすすめです。
絵画のように繊細で優美な色柄を楽しめるのも、ウィルトンカーペットの特徴です。
タフテッドカーペットと比較すると高価ですが、そのお値段の差を上回る魅力があります。

「ウィルトン織カーペット」はヨーロッパで古くから愛されてきた、伝統的な製法の絨毯です。
まるで絵画のような繊細な色柄を楽しめますし、丈夫で長持ちします!
ウィルトン織りカーペットの特徴
- 超高耐久
- 遊び毛が出にくい
- グレードがわかりやすい
- 柄物が豊富
ぱっと列挙するだけでもこれだけの特徴があります。
高耐久・遊び毛が出にくいワケ
ウィルトン織りはパイル(毛足)の密度が非常に高いのが特徴です。
この圧倒的なパイル密度により、普通のカーペットにはない高い耐久性を備えています。
ぎゅぎゅっと毛が詰まっていれば、毛足がヘタリにくいというわけですね。
パイルは三本の糸でしっかり締め付けているため、耐久性はもちろんのこと、遊び毛(抜け毛)が出にくいといううれしい特徴もあります。
日々のお掃除がしやすいというのも、カーペットを選ぶ際の重要なポイントですよね。
グレードはノット数を見てみよう!
繊維の密度はノット数という数値で表され、普及品で10万ノット、最高級品で125万ノット以上にも及びます。
ノット数が多いほど細かい柄を表現できますので、高密度・高精細な柄はノット数が多くないとできないとも言えます。
ものによっては150万ノットというもはや美術品の域に達しているウィルトン織りカーペットもあります。
もし使われている素材が同じであれば、価格は概ねノット数に左右されると言えます。
ノット数が少ない = 価格が安い
ノット数が多い = 価格が高い
最高級グレードですと2畳サイズでも10万円を超えます。
表面の柄だけでなく、裏面の密度も目安にできます。
最高級品は裏面まで芸術品と言われています。
10万ノット(下級品~普及品)
約160x230cm:約9,000円~
お手頃価格なのが一番の魅力。
ウィルトン織の中では毛の密度が低いので、どことなくドットアートを彷彿とさせます。
それでも他のカーペットに比べるとずっと高密度なんです。
16万ノット(普及品)
約160x230cm:約17,000円~
このあたりの価格帯のものが最近増えてきているように思います。
モダンな幾何学模様なんかであれば、違和感なく表現できます。


30万ノット(中級品)
約160x230cm:約25,000円~
中級品に関してはあまり数は多くない気がします。
直線的な柄でもベタっとプレーンにならず、色のミックス感やグラデーションをキレイに見せることができるグレードです。


35万ノット(高級品)
約160x230cm:約25,000円~
このあたりのグレードからウィルトン織りの本領が発揮されると言えます。
しっかり目の詰まった表面はキャンバスとしての役割をしっかり果たしてくれるので、表現の幅を広げてくれます。


50万ノット(高級品~超高級品)
約160x230cm:約29,000円~
50万ノットあたりから、ウィルトン織りの中でも高品質な部類に入ります。
注目していただきたいのは、ブロック柄1つ1つの繊細なニュアンスです。
50万ノットがなせる絶妙な色の表現が、デザインに唯一無二の上品さを加えてくれています。


75万ノット(超高級品)
約160x230cm:約43,000円~
このグレード以上であれば、是非オリエンタルな柄ものをご覧いただきたいです。
表面の細かな装飾が美しいだけにとどまらず、裏から見てもその繊細さが伝わってくるそのスキのなさが75万ノットです。


100万ノット(超高級品)
約150x225cm:約130,000円~
このあたりから“精密”と言うしかない、非常に細かな装飾のカーペットが登場します。
カメラで言うところの一眼レフ、テレビで言うところのハイビジョン、みたいなレベルの表現力です。


125万ノット(超高級品)
約160x230cm:約110,000円~
遠目に見たとき、もしひとつひとつの柄が大きく見えてそこまでのノット数に感じないなんて時は、是非アップの写真をたくさん見てください。
1つの花に見える柄も、近寄ってみると花弁のひとつひとつに丁寧なアレンジが加えられ、これが糸の色合いだけで表現されているという事実に驚かされます。


150万ノット(超高級品)
約160x224cm:約250,000円~※人工シルク(レーヨン)で高価です
このノット数以上のウィルトン織りカーペットはそうはありません。
間違いなく高級品中の高級品です。
言わずもがなの模様の細かさに加え、高ノットがなせるしっかり弾力のある踏み心地も、人生で一度は体験していただきたいものです。


このグレードのウィルトン織りでも、サイズが小さければまだ手が届く価格です。
60x94cmの玄関マットサイズですと42,900円です。
実はマットの方が先に売り切れることも少なくありません。
ウィルトン織の製造方法
『最高級の機会織り絨毯』と名高いウィルトン織。
手織りの風合いや高級感を、機械織で見事に再現しています。
さてさて、ここからはウィルトン織の製造現場をご紹介していきます。
いっしょにのぞいてみましょう!
日本の絨毯の産地といえば、泉州(大阪府)。
古くから「紡績」「織物」「繊維」などの繊維産業が栄えてきた地域で、現在でも高品質な国産絨毯を製造しています。
ウィルトン織はほかの絨毯と比較して、使用する糸の本数がはるかに多いことが特徴です。
糸を繊細に織り上げることで美しい風合いが生まれるのです。
1枚のマットを織るために、なんと2000本もの糸を使用することもあります。
ウィルトン織はパイル(繊維)の密度が非常に高く、3つの糸でしっかりとパイルを締め付けているので、遊び毛や抜け毛が発生しにくく、優れた耐久性を兼ね備えています。
高度な技術を持つ職人が、丁寧に仕上げをしています。
ウィルトン織カーペットは、タフテッドカーペットのように大量生産することはできません。
1枚1枚に時間や手間をかけて、丁寧に織り上げていくのです。
ウィルトン織りカーペットギャラリー
織り模様が特徴のウィルトン織りカーペット。
伝統的な柄のものだけでなく、ストライプや幾何学模様など、最近では近代的なデザインのものも増えてきています。
パターンが分かりやすい代表的なものをピックアップしてみます。
クラシック・エレガント
モダン・シンプル
ナチュラル・エスニック
まとめ
ウィルトン織りのカーペットはしっかりと目が詰まっており、他のカーペットに比べてとても丈夫です。
この目の詰まり具合はノット数という数値で知ることができますので、ご購入前に確認すると間違いがありません。
ノット数の多いカーペット程、細かい柄を表現できるため、高ノット数≒高精細と考えて差し支えありません。
150万ノットにもなる最高品質のウィルトン織りカーペットは、2畳~3畳程度のサイズでも20万円を超えるものもあり、美術品のような1枚と言えます。
最近ではクラシックな柄ばかりでなく、シンプルでモダンなスタイル、ナチュラル系のデザインのウィルトン織りカーペットも増えてきています。
価格もそこまで高価ではありません。
あまり身構えずに気軽に手にすることができるので、根強い人気のあるカーペットです。