カーペットって身近にあるけど、その種類や製法はなんだかよく知らなかったりしますよね。
毛足の長さの違いや色柄の違いなんかは一目見てわかるものですが、使われている繊維の特徴や織り方の違いまで詳しく知っている人は少数派です。
同じようなカーペットに見えても、耐久性が全然違ったり、汚れやすさや臭いの付きにくさまで、カーペットの個性は千差万別。
今日はカーペット専門店のスタッフが体系的にカーペットの種類をまとめてみたいと思います。
目次
カーペットの製法
まずはカーペットの製法。
つまり織り方からご紹介します。
平織り(ひらおり)
縦の糸と横の糸を交差させて織る、織り方としては単純な部類に含まれます。
愛用者の多い帆布(キャンバス地)のバッグなどもこの平織です。
平織りのカーペットは通気性が良く、遊び毛も出にくいので、涼やかな印象がありますね。
タフテッド
タフテッドは基布(ベースの生地)にパイルを植え付ける方式で生産されます。
大量生産がしやすいので、広く普及している織り方です。
その分価格もお手頃なものが多く、庶民の味方といったポジションです。
ウィルトン織り
ウィルトン織りはパイル密度の高い耐久性に優れた生地です。
この密度はノット数という数値で表され、普及品で10万ノット、最高級品で125万ノットにも及びます。
このノット数により価格が異なり、最高級品では2畳サイズでも10万円を超えます。
高密度ならではなのが、その繊細な模様です。
18世紀中頃に発明されてから今日に至るまで、長く人々を魅了する柄物カーペットの王者です。
ゴブラン織り
ゴブラン織りの発祥はフランスで製造されたタペストリーにあります。
そのため経糸4色以上、緯糸3色以上を使った多色表現ができ、ゴブラン織りカーペットは表現力豊かな柄が特徴と言えます。
薄手のものが多く軽量なので、よく移動させる場所での利用や収納を考えて購入される方も多いです。
アキスミンスター織り
高級カーペットの代名詞的なカーペットで、ホテルや会館などで目にします。
ウィルトン織りに似ていますが、アキスミンスターの織り機はずっと数が少なく、カーペット自体も希少性の高いものです。
高密度なカットパイルで耐久性に優れていますので、良いものを長く使うというスタイルに適しています。
「スプール式」「グリッパー式」があり、「スプールアキスミンスター」や「グリッパーアキスミンスター」など呼び分けて販売しているものもあります。
モケット織り・ジャガード織り
ウィルトン織りと似ていますが、ウィルトン織りより細い糸が使われています。
耐久性・耐摩耗性に優れ、電車やバスの座席によく使われています。
薄手でしなやか、毛足も短く掃除のしやすさで人気があります。
手織り・ハンドフック(フックド)
その名の通りハンドメイドで製造されるカーペットです。
大量生産ができないので、ペルシャギャッベのように1点物で高価なものが多くあります。
長い年月受け継がれている伝統的な模様には、家内安全や無病息災など様々な意味が込められています。
ハンドフックは手織りに入れるかどうか議論の余地がありますが、手作業であることに変わりがないのでここにまとめます。
パイルを埋め込む為の手持ちのフックガンを使い、職人が一目一目毛を植えて柄を表現します。
フックドと記載されることもあります。
その他 パッチワークやリサイクル系
ヴィンテージ絨毯をパッチワークにして再利用したものや、リサイクル繊維を使って織ったカーペットです。
ここ何年かのブームを受けて、パッチワーク風のプリントラグなんかも作られ始めています。
何と言っても、同じものが世界に2つとないオンリーワンな1枚であることが魅力です。
カーペットの機能
カーペットには様々な機能を備えたものがあります。
主だったものをご紹介します。
撥水・防汚
水分を弾き、汚れが付きにくい機能です。
一度敷いてしまうと中々動かすことのできないカーペット。
あると心強い機能です。
防音・遮音
階下への騒音を軽減してくれる機能です。
等級により騒音低減性能に違いがあるため、遮音テストの結果を確認しましょう。
その特性上ある程度の厚みがあるため、クッション性を求めている場合にもオススメです。
防ダニ・防虫
ダニを寄せ付けない、増やさないようにする機能です。
カーペットの表面ではなく、肌に触れない基布に加工を施したり、万一のことを考えて人体に影響のない成分を使っていたり、安全性に配慮されているものが多いです。
防炎
消防法により、公共の建物や高層マンションで義務付けられている機能です。
火災の延焼を抑える働きがあり、いざというときに避難する時間を与えてくれます。
遊び毛防止(抜け毛防止)
毛が抜けにくく、毛玉にもなりにくいという機能です。
お掃除が楽になりますので、地味ながら個人的にはオススメの機能です。
消臭・抗菌
人体に無害な抗菌材を使い、ニオイを抑えます、
中には、お部屋の空気までもクリーンにする性能を備えているものもあり、人気の機能です。
カーペットのテクスチャー
カーペットの表面の質感・手触りなどの分類です。
明確な分け方があるわけではないのですが、一般的なものをご紹介します。
シャギー
毛足の長い”ふわふわ”とか”もじゃもじゃ”とした質感・見た目のカーペットです。
無地のものでも毛足による変化が感じられ、プレーンになりすぎないのが魅力です。
ストレートの毛足のもの、ツイストがかかったもの、糸の色を混ぜたミックスなど、シャギー自体にも種類があります。
ファー
シャギーと似ていますが、より毛足の細いものを総称してファーと呼んでいます。
柔らかく滑らかな手触りのものが多く、ふんわり感が欲しい時にぴったりです。
フランネル
毛足の短い、柔らかい表地のものです。
短毛なのでコロコロでのお掃除がしやすく、抜け毛もほとんどないので快適です。
カーペットに使われる主だった素材と特徴
次はカーペットに使われる繊維についてまとめます。
ウール(羊毛)
カーペットと言えば1番人気はウールです。
「夏は涼しく、冬は暖かい」天然繊維の王様です。
ウール100%のカーペットの中には、専門機関での厳しい品質基準をクリアしたウールマーク付きのものがあります。
綿(コットン)
さらりと気持ちの良い肌触りが特徴です。
衣服などでなじみ深い素材ですので、安心感があります。
麻(リネン)
シャリっとした質感で、涼やかな素材です。
風通しが良く熱も逃がしてくれるので、高温多湿な日本に最適です。
皮(レザー)
レザー100%のカーペットは数が少なく、あまり見かけません。
縁にレザーをあしらったり、パッチワークの素材として採用しているものなど、ポイント的に使用されていることが多いです。
独特のかっこよさがあり、男前インテリアなどで高いです。
いぐさ
日本人になじみ深いいぐさ。
肌にくっつかずさらっと気持ちの良い素材ですので、夏場に重宝されます。
ウレタン入りのいぐさカーペットも登場し、踏み心地にまで配慮されています。
竹や籐
皮膚が触れるとひんやりと感じるため、夏には是非取り入れたい素材です。
足元から涼やかに過ごしたい場合にオススメできます。
ナイロン
へたりにくく丈夫で色褪せにくい素材です。
化学繊維の中では、人気ナンバーワン。
想像以上に柔らかく快適ですので、一度お試しいただきたい素材でもあります。
ポリエステル
合成繊維の中では1番生産量の多い素材です。
衣服にもよく使われていますね。
扱いやすい素材ですので、カーペットでも多く使用されており、価格も抑えめです。
レーヨン・ビスコース
シルクのような質感の化学繊維です。
独特の光沢があり高級感があります。
カーペットのデザイン・テイスト
これを詳細に書きだすと、表示ができないくらいこの記事が長くなりそうなので、記事を分けました。
カーペットの柄の名前をデザイン別に総まとめ!もう呼び方で迷わない
https://bicklycarpet.co.jp/review/?contentspage=20190517-02
モダン・ナチュラル・エスニック・カジュアル・ヴィンテージ・エレガント・クラシックにざっくり分け、18種類について徹底解説しております。
随時書き足して更新して参りますので、必見です。
カーペットの形
カーペットは長方形や正方形だけではありません。
サイズオーダーまで含めると複雑な形への加工も可能になります。
四角形(長方形・正方形)
一番オーソドックスな形ですね。
もはや写真すらいらなかったかも・・・
- 2畳・4畳半・8畳は正方形
- 3畳・4畳・長4畳半・6畳・7畳半・10畳・12畳は長方形
既成サイズですと、概ねこんな形に分けることができます。
円形(正円・楕円・トラック型)
まん丸タイプや楕円タイプなど、円形カーペットでも形が色々です。
数は少ないですが、卵型(オーバル型)もあったりします。
角丸
ダイニングカーペットの写真です。
こんな風にカーペットの角部分だけ、丸みをつけたものがあります。
オーダーカーペットであれば割と対応品がありますので、角部分までコダワリ派という方に!
変形
ラグと呼んだほうが適しているかもしれませんが、変形タイプの代表例の写真です。
こちらは雲形です。
ハート型、星型、動物柄などちょっと目を引く変形タイプはオシャレですよ。
まとめ
カーペットの製法・機能をはじめ、テクスチャーや素材、形まで体系的に説明を加えました。
「カーペットの種類って多すぎてわからない」
なんて時に、一助になれば幸いです。