イラン北西部発祥のアーティスティックでボリュームのあるラグ『ギャッベ』。
丈夫なウール素材を使用したギャッベは耐久性に優れ、50年100年と使えるものもあります。
長く使えるギャッベだからこそ、「ギャッベって洗濯できるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか?
残念ながらギャッベを自宅で洗濯するのは難しいです。
ですが、ギャッベは汚れに強いラグなので、掃除機掛けや水拭きをおこなえば、長く清潔にお使いいただけますよ。
そこで、この記事ではギャッベを自宅でクリーニングする方法について解説します。
目次
ギャッベは自宅で洗濯できない!
結論から言いますと、残念ながらギャッベは自宅で洗濯することはできません。
その理由はギャッベがウール素材でできているから。
ウールの衣類と同じで、水に濡れると縮んでしまうことが多いので水でジャブジャブ洗うことはお勧めしません。
また、ギャッベは厚みがあるため、洗濯しても中まで乾かしきるのが難しいです。
ギャッベは重みがあるため濡れた状態で吊り干しすると、マット自体の重みで形が歪んでしまうこともあります。
ギャッベはそもそも汚れに強い
「じゃあ洗えないギャッベって不衛生なの?」と思われるかもしれませんが、そういうわけではありません。
屋外のテントにも敷いて使われるギャッベは、むしろ汚れに強い敷物だと言われています。
ウールは他の繊維製品に比べて3~5倍汚れにくく、汚れがついてもはじいてくれるからです。
そもそもウールは静電気が発生しにくいという特徴があるので、ホコリなどが付着しくくなっています。
また、遊び毛による自浄作用があるため、汚れてしまってもラグの表面に汚れを掃き出してくれるんです。
汚れにくく、汚れを落としやすい。
ギャッベは洗濯できない代わりに、きれいな状態をキープする力を備えているんですね。
ギャッベをクリーニングする方法
では、ギャッベはどのようにしてお手入れすれば良いのでしょうか?
ここでは、ギャッベをクリーニングする方法を2つ紹介します。
自宅でギャッベをお手入れする
水洗いが難しいギャッベですが、掃除機掛けや水拭きなど基本的なお手入れは自宅でもできます。
定期的にお手入れをすることで、ギャッベを長く清潔にお使いいただけますよ。
詳しいお手入れ方法については、後ほど詳しく解説しますね。
クリーニング店に相談する
衣類のクリーニング店や、カーペット専門のクリーニング業者ならギャッベの水洗いが可能です。
「どうしても水洗いしたい!」というときには、クリーニング店に相談しましょう。
お店や地域によりますが、1畳あたり5000~9000円くらいでクリーニングしてくれることが多いようです。
お洗濯のプロがきれいに洗ってくれるので、長年使ったことによる『くすみ』もきれいにしてくれます。
ただ、汚れの状態によっては、シミや汚れを完全に落としきるのが難しいこともあるようです。
どのくらい汚れが落とせるのか、費用がどのくらいかかるのかなどはギャッベの状態によって変わるので、まずはクリーニング店に相談してみてくださいね。
ギャッベのお手入れ!週2~3回の掃除機掛け編
ここからは、自宅でギャッベをお手入れする方法を紹介します。
ギャッベは汚れに強いラグなので、基本的には週数回の掃除機掛けできれいに保つことができますよ。
お手入れ方法
目視できるゴミを手で拾い、掃除機を掛けます。
ギャッベの裏表両面、それからギャッベを敷いている床の部分にも掃除機を掛けていきましょう。
毛並みを起こすようなイメージで掃除機を掛けると、毛足の奥に入り込んだゴミも取り除くことができますよ。
強くこすると毛足を傷めるので、優しく時間をかけて掃除機を掛けるようにしてください。
目安は1平方メートルあたり20秒程度です。(1メートル進むのに5秒かかるくらい!)
食事をする場所など、汚れやすい場所は重点的に掃除機を掛けるようにしてくださいね。
掃除機を掛け終わったら窓を開けて換気をおこない、お手入れ完了です。
お手入れのポイント
ギャッベに掃除機掛けをおこなうときのポイントは以下の3つです。
①購入してすぐはこまめに
購入してすぐは『遊び毛』と呼ばれる繊維が出てきます。
そのため、購入してすぐはこまめに掃除機を掛けるようにしましょう。
「遊び毛をしっかり取り除きたい!!」と、掃除機を強くゴシゴシこすりつけてしまうのはNGです。
毛並みを傷めてしまい、かえって遊び毛が増えてしまいます。
掃除機を掛けるときは、優しくゆっくり動かすようにしてくださいね。
②裏面の掃除も忘れずに
ギャッベはギュッと目が詰まっているのでゴミが入り込みにくいですが、それでも裏面までゴミが落ちてしまうこともあります。
数か月に1回はギャッベの裏面にも掃除機を掛けるようにしましょう。
ギャッベを半分めくり、ギャッベの裏面と、ギャッベを敷いていた床部分に掃除機を掛けます。
半分ずつめくって掃除すれば、女性一人でも大きなギャッベの裏面を掃除しやすいですよ。
③回転ブラシは使わない
ギャッベに掃除機を掛けるときは、回転ブラシを使わないようにしましょう。
回転ブラシを使うとギャッベの毛並みを傷めてしまうことがあります。
回転ブラシのないタイプを使うか、ブラシの回転をオフにして掃除機を掛けてくださいね。
④お掃除ロボットは使える?
ギャッベのあるお部屋にお掃除ロボットを使うときは注意が必要です。
ギャッベから出てくる遊び毛をホコリと勘違いしてしまい、お掃除ロボットがギャッベの上ばかり掃除してしまうことがあります。
遊び毛でタンクがすぐにいっぱいになってしまうと、部屋全体を掃除することができません。
時間設定をするなど、お掃除ロボットがギャッベばかりを掃除しないように工夫しましょう。
また、ギャッベの端にフリンジ(房飾り)があると絡まってしまうことがあるので気をつけてください。
ギャッベのお手入れ!月1~2回の水拭き編
ギャッベは水でジャブジャブ洗えないので、代わりに拭き掃除をしましょう。
こまめに水拭きできるのが理想的ですが、ギャッベは汚れに強いので神経質になりすぎなくても大丈夫です。
大掃除のタイミングや、季節の変わり目などにできる範囲でおこなってくださいね。
お手入れ方法
ギャッベの水拭きをするときに準備するものは以下の通りです。
★準備するもの★
- 掃除機
- きれいな雑巾×2枚
- 水
ギャッベの拭き掃除は大きく分けると4ステップになります。
水拭き後にギャッベが乾きやすいよう、お天気の良い日を選んでくださいね。
①掃除機を掛ける
まずは普段のお手入れと同じように掃除機を掛けましょう。
ラグの表と裏の両面と、ラグを敷いている床にもしっかりと掃除機を掛けておきます。
②水拭きする
次に、ギャッベを水拭きしていきます。
水に浸して固く絞った雑巾でギャッベを拭いていきます。
毛並みに沿って叩くように拭いていきましょう。
たっぷりの水で拭いてしまうと乾くのに時間がかかるので、雑巾はしっかり絞ってくださいね。
③乾拭きする
水拭きできたら、乾いた雑巾で水分を取り除きます。
倒された毛並みを起こすようなイメージで乾拭きしていきましょう。
ギャッベに水分が残らないよう、できるだけ丁寧に乾拭きをおこなってください。
④風を通す
乾拭き出来たら、換気をしてギャッベに風を通します。
敷いてあるギャッベを半分裏返し、裏面に風が当たるようにすればOKです。
数時間で裏返し、反対側の裏面も風が当たるようにしましょう。
裏面に扇風機の風を当てるとより効果的に湿気を取り除くことができますよ。
お手入れのポイント
ギャッベを水拭きするときのポイントは以下の3つです。
①強くこすらない
汚れや染みがついていると、つい力を込めて拭き掃除したくなりますよね。
ですが、雑巾をゴシゴシ強くこすりつけると、汚れが広がったり、毛足が傷んでしまう原因になります。
拭き掃除をするときは、とにかく優しく!
こすらず、ポンポンと叩くようなイメージで拭いていきましょう。
②衣類用中性洗剤でさらにキレイ
汚れをしっかり落としたいときは、中性洗剤を使って汚れをしっかり落としましょう。
洗剤は、ウールマークがついている衣類用の中性洗剤を使ってください。
手順①が終わったら、水で薄めた中性洗剤を布につけて固く絞り拭いていきます。
ポンポンと叩くようなイメージで拭いていきましょう。
洗剤で拭き終えたら、手順②に戻り通常の水拭きと同じ手順で掃除します。
洗剤が残っているとニオイの原因になるので、数回に分けてしっかり水拭きしてくださいね。
③水拭きが難しいときは風通しだけでもOK
雨が続いているときや、忙しくてまとまった時間を取れないときには水拭きが難しいときもありますよね。
そんなときは、掃除機掛けとギャッベに風を通すだけでも大丈夫です。
ラグを半分裏返しているときに裏面と床に掃除機を掛けておくと、掃除の時間を節約できますよ。
ギャッベのお手入れ!年1~2回の陰干し編
ギャッベの中に湿気がこもるとニオイやカビの原因になります。
年に数回、ギャッベを陰干しして湿気を取り除きましょう。
お手入れ方法
お天気の良い日にギャッベを干し、裏側から軽く叩いてホコリを落としましょう。
写真は室内ですが、ベランダや庭先など屋外で干していただいて大丈夫です。
紫外線によってラグが退色してしまうことがあるため、ギャッベは裏返した状態(裏面が外側)で陰干ししてください。
お手入れのポイント
ギャッベを陰干しするときのポイントは以下の3つです。
①天気の良い日におこなう
陰干しの目的は、ギャッベの中にたまっている湿気を取り除くことです。
湿気が抜けやすいよう、数日晴れが続いているような空気が乾燥している日に陰干ししてくださいね。
②大きいギャッベは風を通すだけでもOK
大きなギャッベは移動させたり、干したりするのが難しい場合もありますよね。
そんなときは、水拭き編で紹介した『④風を通す』方法を試してみましょう。
裏面に風を通してあげるだけでも、湿気を取り除く効果は期待できますよ。
③天日干しは短時間で!
立地の関係で陰干しするスペースを確保できない場合もありますよね。
もし日の当たる場所にギャッベを干す場合は、できるだけ短時間で済ませるようにし、頻繁に干すことは避けてください。
汚れ・お悩み別!ギャッベのお手入れ方法
ここからは、ギャッベの汚れやお悩み別にお手入れ方法を紹介します!
液体汚れのシミ
ギャッベにコーヒーなどをこぼしてしまったときは、すぐに乾いたティッシュやタオルで拭き取りましょう。
ある程度液体が取れたら、毛の流れに沿って優しく水拭きしてください。
汚れが落ちたら乾いた布で水分を取り除き、しっかり乾かせばお手入れ完了です。
強くこすると毛足を傷めたり、汚れが広がってしまうので、ポンポンと優しくたたくようにしましょう。
ニオイ
ウールは調湿性に優れた素材です。
湿気を吸い・吐き出すことで室内の湿度を一定に保ってくれています。
湿気を掃き出すときにウール特有のニオイも一緒に出してしまうため、湿度の高い季節はニオイが気になってしまうことも…。
ウールのニオイを和らげるためには、ウールの中に湿気を溜め込まないことが大切です。
梅雨や夏場は、ギャッベを敷いている部屋をこまめに換気するようにしましょう。
また、先ほどのお手入れで説明した風を通す方法や、陰干しも有効です。
湿度やお天気に関係なくニオイがするときは、ギャッベに汚れがついているのかもしれません。
そのときは、水拭き掃除と陰干しを試してみましょう。
ダニ
ギャッベやカーペットを敷くときに、ダニが繁殖しないか心配な方もいるのではないでしょうか?
ダニは多湿で餌のある場所を好みます。
そのため、きちんとしたお手入れを怠れば、ギャッベに限らず、すべてのカーペットにダニが繁殖してしまう可能性があるんです。
ダニを繁殖させないためには、汚れをなくし、ギャッベを乾燥させることが大切です。
定期的に掃除機掛けと換気をしてギャッベに汚れや湿気がこもらないようにしましょう。
「すでにダニが繁殖してるかも…」という場合は、スチームアイロンを使ってダニを退治する方法もあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
遊び毛
ギャッベを使っていると、小さな毛がたくさん出てきて「もしかして不良品!?」と驚かれた方もいるのではないでしょうか?
実はこれ、遊び毛と呼ばれるもので不良品ではないんです。
遊び毛とは、ラグやカーペットから発生するワタボコリのようなもの。
ギャッベを使い初めた頃には大量の遊び毛が出ますが、品質的には問題ありません。
遊び毛は3ヶ月~半年ほどで落ち着いてきます。
それまでは、こまめに掃除機を掛けてあげてくださいね。
遊び毛が落ち着くとギャッベ本来の気持ちよさが楽しめるようになりますよ。
遊び毛については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
この記事では、ギャッベのお手入れ方法について解説してきました。
ギャッベはご家庭で洗濯することができません。
自宅でお手入れするときは掃除機掛けや、水拭きがメインになります。
ギャッベに使われているウールは汚れに強いので、日ごろのお手入れをすることで長く清潔にお使いいただけますよ。
汚れがひどい場合や、何年も使っていてしっかり汚れを落としたいときはクリーニング店に相談してみましょう。